朝から職場の空気がピリピリしている。
電車の中で隣の人がずっとため息をついている。
そんな場面に出くわすと、こちらまでなんとなく落ち着かなくなること、ありませんか?
私は以前、同僚がイライラしていると、自分もそわそわしてしまい、仕事が手につかないことがよくありました。
不思議ですよね。相手の感情は私のものじゃないのに、まるで自分の心の中にもイライラが入り込んでくるようで…。
実はこれ、“感情の伝染”と呼ばれる現象なんです。
感情はなぜ伝染するのか
心理学では「情動感染(emotional contagion)」と呼ばれています。
人は無意識のうちに、相手の表情や声のトーン、姿勢を真似してしまうことがあります。
これは「ミラーリング効果」と呼ばれ、脳の中の「ミラーニューロン」が関わっているといわれています。
つまり、人は本能的に“相手の感情をコピーしてしまう生き物”なんですね。
だから、近くの人が笑顔ならこちらも明るい気分になり、逆に怒っている人がいれば、私たちの心もザワついてしまうのです。
イライラをもらいやすい状況とは?
特に感情を受けやすいのはこんな時です。
密閉された空間(電車、会議室など) 家族や職場など、距離が近い人との関わり 自分が疲れている・余裕がないとき SNSやニュースでネガティブな投稿を立て続けに見たとき
こういう状況では、心のバリアが薄くなって、感情が入り込みやすくなります。
穏やかさを保つための対処法
では、感情の伝染に巻き込まれないためにはどうすればいいのでしょうか。
私が試して効果を感じた方法をいくつかご紹介します。
1.呼吸で一旦リセット
4秒かけて息を吸い、4秒かけて吐く。これを3回繰り返すだけで、気持ちがふっと落ち着きます。 なぜ4秒なのかというと、3秒より少し長めのこのペースが、自律神経を整えるのにちょうどいい長さだからです。 呼吸がゆっくりになると、脳に「今は安全だよ」という信号が届き、緊張モード(交感神経)からリラックスモード(副交感神経)に切り替わります。 もしもっと落ち着きたいときは、4秒吸って、6〜8秒かけて吐くのもおすすめです。
2.境界線を意識する
心の中で「これはあの人の感情。私のものじゃない」と言葉にします。境界線を引くイメージです。
3.視覚・聴覚を切る工夫
視線を外す、イヤホンで心地よい音楽を聴くなど、感情の入り口を物理的に閉じます。
4.意識を別のものに向ける
その場で1つ、「ありがたいな」と思えることを思い出す。たとえば「今日もコーヒーが美味しかった」とか、小さなことでOK。
5.心のバリアを鍛える習慣
日常的に、ストレッチや瞑想、趣味の時間を持つと、感情の影響を受けにくくなります。
まとめ
感情は、思った以上に簡単に人から人へと伝わります。
でも、その感情を受け取るかどうかは、自分で選ぶことができます。対処法を持っていれば、相手の感情に振り回されなくてすみますね。
自分の心を守ることは、ただ自分を楽にするだけではありません。
穏やかなあなたの存在が、周りの空気までやわらげることもあります。
今日も、あなたの中の穏やかさが、誰かの心をほっとさせますように。